ハセガワの1/72 F-20を作りました。
と、言ってもだいぶ改造しています。改造点は後ほど。
ハセガワの1/72 F-20は1984年のキットで、今でも量販店で手に入ります。価格も定価でも900円と、手が出しやすいです。
キットの出来は可もなく不可もなくというか素直なものです。モールドは若干浅いところはありますが適度の施されており、部品の合いも上々です。
難点を挙げるとすれば、以下の二点程度かと。
・座席の後ろに付けるキャノピのアームが邪魔で閉状態で作るには難がある。
・インテイクの後部は若干大きめの段差が出来る。
一点目は部品を削るあるいは付けなければ解決可。二点目は埋めるだけです。
F-20はノースロップの試作機が3機作られたのみで、マーキングも種類が多くありません。キットではライトグレー一色の試作2号機の1種類のみです。
実機では白に赤の模様が入った1号機、黒一色の3号機があります。
武装類は翼端に装備するサイドワインダーが入っています。また、増槽が3本付属しています。
さて、今回の改造点です。
まず機首周りから。形状は変更していません。
・レーダー警戒システムのアンテナを左右に追加
・機首下にIRSTを追加
・F-16タイプのIFFアンテナを追加
・給油プローブはキット付属のものを位置を変更して装着(キットの指示だと風防に前)
・機銃は左舷のみとして真鍮パイプで銃身を追加。右舷は電子機器の冷却用ダクトとして穴を開けたのみ
・コックピットの計器盤はキットではデカールですが、大型液晶2ケに変更
胴体編。
・インテイクは上部を伸ばして、高迎え角でも若干は対応可能なように
・背面に電子機器格納用のフェアリングやアンテナ、冷却用ダクトを追加
・垂直尾翼にアンテナを追加
・後部下面に安定用フィンを追加
・推力偏向パドルの追加
推力偏向パドルは細長く尖ったタイプ、X-31はF-18HARVのような四角いタイプなども作ってみたのですが、結局折衷案のような形にしました。
また、ノズルはそのままの位置だと、パドルを付けると間延びした感じがしたので胴体内に若干押し込んでいます。
武装はSEAD任務を想定して選定しました。
・AGM-88 対レーダーミサイル(両翼内側):タミヤのF-16のものです。ランナー注文で入手。AGM-88専用のランチャーも付属しています。
・AIM-120(左翼外側):AIM-120はハセガワのエアクラフトウェポンVIIIより。これにはAIM-120やAIM-9X用のLAU127ランチャーも付属しています。今回は翼端のランチャーはこちらに付け替えています。AGM-88と干渉してしまったので、斜めに装着できる部品を自作して、ランチャーを傾けています。
・AIM-9X(翼端):AGM-88と同じくタミヤF-16のものです。同じランナーにまとまっています。
・HTS(左舷胴体下):ハセガワのエアクラフトウェポンIXよりAGM-88管制用のHTSを左舷胴体下に装着。改良型のイメージで全長を伸ばしてあります。
・スナイパーXR(右舷胴体下):ハセガワのエアクラフトウェポンIXより
・AN/ALQ-184 ECMポッド(右翼外側):ハセガワのエアクラフトウェポンVIIIより。
・増槽(胴体下):キット付属の増槽。
キットの3倍くらいの額がする!!
塗装はグンゼの305番です。F-15Eと同じ色ですね。もっと暗いのかと思っていましたが意外と明るい。
マーキングはエクストラデカール製のF-35用のものから国籍マークや尾翼のシリアルナンバーを流用し、その他はキットや他キットの余りを使いました。
他に弄ったところといえば主翼や水平尾翼の後端や主脚カバーなどは薄くしておきました。
F-20は元になったF-5とさほど機体サイズは変わらないため、かなり小型の機体です。対抗馬だったF-16も比較的小型ですがさらに小さい。
スウェーデンのJAS39や中国・パキスタンのJF17なんかが近いサイズのようです。
F-20はF-5の台湾向け改良版が開発のきっかけであり、米中関係への配慮から中止されましたが、F-5に代わる輸出用戦闘機の開発が民間主導で行われました。カーター政権は自国の最新兵器の東側への流出、漏洩を懸念しており、一部の友好国以外には最新兵器を供与しないという方針がありました。
輸出用戦闘機とてはノースロップのF-20の他にゼネラルダイナミクスがF-16のエンジンをファントムで使用されていたJ79ターボジェットエンジンに換装して電子機器をダウングレードしたF-16/J79も提案されていました。
結局のところ、この方針は米国離れを招き上手くいかず、カーターの後に政権に就いたレーガンの元でダウングレードされていないF-16の輸出解禁に繋がり、すでに米国で採用済みであり、より最新式であるF-16の可能性の前にF-20は破れ、試作3機でプロジェクトは終了しました。
というのが現実のF-20ですが、もしダウングレードされていないF-16の輸出解禁が遅れていたらF-20を採用する国もあったのではないか?というありがちな空想により作ったのが今回のものです。
韓国はF-5Eの後継としてF-20を採用し、最初は輸入だったが、後に大韓航空機の製造部門(KAL-ASD)でライセンス生産を行った。交代されたF-5Eは順次他国に売却されていった。後にF-16の採用も決まったがF-20は200機あまりが配備され、数の上では主力となっている。
韓国で生産された機体は自国への配備のみならず、F-20を採用した他国への輸出にも充てられ、それらの整備なども請け負ったことから一大拠点となった。後の改良型の開発にも韓国が参画し、航空機開発・製造のノウハウを蓄積し、米国からパートナーとしての信頼を得ることに繋がった。
80年代後半からは順次改良が模索され、複合材料の比率増、操縦系統のデジタル化、電子装備のアップデートなどの改良を行ったF-20C/Dが90年にリリースされた。
その後、フルスペックF-16の輸出解禁や第4.5世代戦闘機が登場するようになり、商品価値を保つためにマルチロール化を行ったF-20Eが登場する。
E型の開発は3段階に分かれて行われた。
フェーズ1では様々な武装の懸架に合わせた機体構造のさらなる強化が行われた。これは後のフェーズの前段階であり、実用化は前提としていなかった。
フェーズ2では電子装備のアップグレードを主眼とし、メインCPUの64bit化、メモリやバスの高速化により処理能力を向上させ、他任務に対応するだけの能力を持ったレーダー・FCSが搭載された。また、搭載するF404エンジンもデジタル制御化され、燃焼効率や燃費の向上により弱点の一つであった航続距離が改善された。
フェーズ3はフェーズ2の発展型であり、対話型機能や支援機能の強化により操縦者への負担の軽減を試みたミッションコンピュータの搭載や、何より目を引くのが推力偏向パドルの導入であった。これは元々小さな機体にマルチロール化の名の元で電子装備や武装を増した結果の重量増により元来の軽快な機動性が失われたことへの対応であった。エンジン推力には余力があったこともあり一定程度の成果を得ることが出来た。
F-20を運用している各国へアップグレードあるいは新造機としてF-20Eが提案されたがフェーズ3はやや過剰であり、フェーズ2までの採用が多かった。
F-5譲りの整備性の良さや扱いやすさなどの「手軽さ」やなおもF-16より安い価格、ランニングコストを武器としたF-20だが、セールス上のライバルとされたF-16ほど成功を収めることは出来なかった。
総合的にはF-16の方が能力的にに勝っており発展の余地も大きいことからF-16が「上」であることは明白であり、政治的にF-16の供与が認めずF-20を認めれば対象国の軽視と見做され離反に繋がる恐れがあったことから、大体、両者が提案されF-16が優位であった。
その後、韓国のF-50、F/A-50の登場により、F-20が積極的に提案されることはなくなっていった。